RPGには、いろいろな要素があります。例えば、アクター、装備、スキル(魔法や必殺技)、
アイテム、ステート(毒や眠り、HP自動回復などの一時的な状態)、
そして戦うことになる敵キャラ、など、
ざっと考えただけでも非常に多くのデータがあります。
Uniteでは、ヒエラルキーにそれらを設定するためのツリーがあり、そこでデータの設定を行います。
例えば「ショートソード」という武器があったとします(データベースに予め登録されています)。
この時、ヒエラルキーから「ショートソード」を選択すると、インスペクタに、その設定が表示されます。
この場合は、攻撃力、装備の種別(ここでは剣)、その装備の値段など、必要な情報がインスペクタに登録されています。
(ここで緑の枠で表示された「特徴」は後述しますが、重要項目です。)
そこでまず前編では、複数のデータのインスペクタにあるものを紹介します。
Uniteでさまざまなデータを編集する場合、最も重要な項目が「特徴」です。
「特徴」は、ゲームをつかさどる様々なデータを設定可能な項目で、
アクター、職業、装備(武器、防具)、敵キャラ、ステートにて設定が必要な項目です。
いくつか、設定されている特徴を確認してみましょう。
例として、ステート「炎の力」に設定されている特徴を確認しましょう。
「特徴」にて、炎属性を持たせたり、攻撃力を1割上げていることが読み解けると思います。
特徴のうち、命中率や回避率など、全ての敵キャラに設定必須な要素は、独立して設定が可能になっています。
「その他の特徴」で、その他の新たな特徴を追加可能です。
特徴のうち、重要な項目が「追加能力値」および「特殊能力値」として設定されています。
これらは「特徴」という名前を使ってはいないものの、れっきとした特徴です。
敵キャラ同様、「その他の特徴」で、新たな特徴を追加可能です。
アクターの特徴は、その時の職業や装備、そして毒などのステートにかかっているときはそれの特徴、といったように、
これらの全ての特徴を持つことになります。
すなわち、例えば、武器を装備すれば、その武器に設定された特徴が適用されます。 一方、その武器をはずすと、それらの特徴は解除されます。
敵キャラについても、アクター同様、特徴が適用されます。
敵キャラ自身が持っている特徴と、状態異常時はそのステートの特徴を持ちます。
以下、主な特徴を取り上げます。すべての紹介は出来ないので、 重要性の高い物や、使用頻度が高いものを挙げます。
命中率、回避率、会心率などを設定可能です。
複数の項目で設定が行われている場合、足し算で設定されます。
このうち、命中率は設定必須です。このため、職業では、独立して設定するようになっています。
仮に、命中率を設定しなかった場合、0%となり、攻撃が全く命中しなくなります。
狙われ率や消費MPなどを、パーセンテージで設定します。
複数の項目で設定が行われている場合、掛け算で設定されます。
狙われ率については、低く設定することで、他のアクターより狙われにくくなったり、
高く設定することで、そのアクターに攻撃を集中させることが可能になります。
狙われ率の想定される使用法は、そのような設定を行うステートを作成し、
アクターに、そのステートが付与されている間、狙われ率を変更することが挙げられます。
特定の属性に対してのダメージ率を設定します。
この値を小さくすることで、耐性になる一方、大きくすると、弱点となります。
指定されたステート変化の攻撃を受けた際の成功率を%で設定します。
設定がない場合、100%と見做され、そのアクターや敵キャラには、確実にそのステート変化が効くようになります。
先のステート解説で「炎の力」を使用した際に、攻撃時属性が「炎」になる例を紹介しました。このように、属性を設定します。
属性には「0001:通常攻撃」があります。これは、主に武器を使った必殺技で、攻撃時の属性を、通常攻撃と同じにする場合に設定します。
攻撃が命中した際、付加されるステートとその成功率です。主に、攻撃とともに毒を与えるような武器や、敵キャラの攻撃で設定します。
攻撃力や魔法防御力などの弱体(デバフ)を受けた時の成功率を%で指定します。
この設定は、パラメータ毎に設定する必要があります。
該当パラメータに設定がない場合は、100%となり、必ず弱体が効くようになります。
なお、強化(バフ)の成功率は常に100%です。
弱体/強化は、2段階まで重ね掛けが可能です。いずれも1段階につき、通常値の25%の値が増減します。
また、弱体と強化は、相殺されます。例えば、強化が2段階かかっている状態で弱体を受けると、
1段階強化が相殺され、1段階強化の状態になります。
弱体/強化は、戦闘が終了すると、リセットされます。
スキルタイプには、「魔法」「必殺技」がありますが、ここで「魔法」を設定すると、魔法スキルが使えなくなります。
例えば、「沈黙」という、魔法を使えないステートを作成する時に利用します。
ターン終了後に、HPを最大HPの何%回復するかを設定します。
負の値を入力することも可能で、この時は、ターン終了後に、スリップダメージを受けるようになります。
主に、HPをターンごとに回復する防具の作成や、毒のようなスリップダメージを受けるステートに適用します。
継続ターン数を指定するステートの多くは、戦闘終了時に自動で解除される設定にするのが普通です。
しかし、もし仮に移動中に、そのステートが続く場合、20歩ごとに1ターンと見做され、ターン終了時の処理が行われます。
すなわち、戦闘後も継続するステートで、ターン終了時にHPダメージなどが設定されているステートになっている場合、
20歩ごとにスリップダメージを受けます。ここでターンが経過するため、移動中に効果が解除されることもあります。
確率を%で入力すると、所定の確率で、1ターンの行動回数が増加します。
たとえば、100%にすると、常に2回行動になります。
この設定は複数設定可能であるため、1ターンに3回や4回行動する敵キャラやアクターも作成可能です。
主に、1ターンに複数回行動するボスに使われることが多いですが、アクターに、特定のステート時に付与する設定なども可能です。
なお、アクターが複数行動可能なターンでは、行動回数分だけ、そのアクターのコマンド入力が可能になります。
「0003:不意打ち無効」や「0005:獲得金額2倍」など、パーティー全体に効果がもたらされます。
一般的に、特定のステートや、アクセサリのような防具に付与するのが一般的です。
ただし、複数人がこの特徴を持っていても、効果は重複しません。
例えば「獲得金額2倍」を持つアクターが複数いても、4倍や8倍になることはなく、あくまで2倍のままです。
アイテムとスキルで設定が必要になる項目です。
いずれも「使用することで何らかの効果がある」ため、インスペクタでの設定では、共通の部分が多いです。
Uniteにおける範囲の設定は、赤枠で囲った「(使用者以外の)対象者」と、緑枠で囲った「使用者」という
独立したふたつの項目で設定します。
前者は「対象者への効果」で、後者は「使用者への影響」で設定を行います。
多くの場合「対象者への効果」が主作用、「使用者への影響」は副作用となります。
「使用者への影響」は、範囲の「使用者」にチェックがある時だけ、発動します。
一方、「対象者への効果」は、「なし」にしたとしても、
「使用効果」でコモンイベントが設定されている場合などは、その処理が行われます。
設定が必要になる項目を考えてみましょう。
まず思いつくのは「誰に対して」「どんな効果か(回復、ダメージ、その他)」の2つでしょう。 インスペクタで、これらを設定している箇所はどこでしょうか。
まず、「誰に対して」は、前述の「範囲」で設定します。回復は、味方または使用者自身に、攻撃は敵に対して行うのが一般的ですね。
「どんな効果か」については、「回復」「ダメージ」「使用効果」で設定します。
回復は、HP、MP、TPのうちから選びます。複数選択も可能です。
どのくらいの回復を行うかは、数式(整数でも可能)や、最大値に対する割合などから選択します。 分散度を指定すると、回復量にばらつきを持たせることが可能です。 例えば、20にした場合、80~120%の値になります。0にすると、固定値になります。
ダメージは「自由入力」にて、計算式(数値をそのまま書いてもいい)や分散度を設定します。
スキルでは、「タイプ」にて、ダメージをHPやMPから選べたり、吸収属性を付けたりできます。 スキルでは、「自由入力」の代わりに「オートガイド」でダメージ値を自動設定することもできます。
特殊な効果の場合、「使用効果」を設定します。複数設定が可能です。 主に「状態変化の設定/解除」や「強化/弱体の設定/解除」を行うことが多いでしょう。
「その他」の「コモンイベント」を設定すると、使用時にコモンイベントを起動できます。 アイテムでは、「成長(能力値の増加)」「スキル習得」も設定可能です。
上記以外では、「発動」があります。ここでは、「どんなアニメーションか」「成功率」などが設定可能です。
この中で、特に重要となる「命中タイプ」について説明します。
TPは、0から100までの範囲になるパラメータで、主にスキル使用の際に、消費量を設定すると、TPを消費するスキルとなり、
TPが足りない場合は、そのスキルは使用できません。
TPは、戦闘開始時に0~25のランダムな値に設定され、ダメージを受けた時にダメージ量に比例して増加したり、
アイテムやスキル使用時に、「使用者への影響」で設定された量のTPが増加したりします。
アクターに「TP持ち越し」という特徴が設定されている場合、
戦闘終了時のTPの値が、そのまま次の戦闘開始時の値になり、上記の「0~25で初期化」は行われません。
主に、必殺技で使われることが多いですが、例えば強力な魔法でMPとTPの両方を必要にする、といったことも可能です。
なお、TPという名前は、タクティカルポイント(Tactical Point)の略称です。
前述のとおり、範囲の「使用者」にチェックがある時だけ、機能します。
前述の「使用時に増加するTP量」の設定を行うことが可能です。
対象と同様、「回復」「ダメージ」「使用効果」の設定が可能です。
設定例として「大ダメージを敵に与えられるが、自分もダメージを受ける」などの副作用が設定可能です。
この「使用者への副作用」の設定は、ツクール(Maker)では、Uniteで初めて設定可能になった項目です。
以前のツクール(Maker)では、「プラグイン」と呼ばれる拡張機能を利用して、初めて可能になっていたものです。
スキルとアイテムでは、対象者および使用者への効果に対して、「使用効果」が設定可能であることは既に説明しました。
ここでは、主な「使用効果」を紹介します。
「使用効果」は設定方法が「特徴」と似ているため、混同する人が多いですが、全くの別物です。
「特徴」が恒久的に効果があることに対し、「使用効果」は、使用後に発動する効果を設定します。
ステート付与、または解除を行います。特定のステートを指定し、付加/解除の成功率を%で設定します。
ステート解除の例として、アイテム「万能薬」の使用効果を確認しましょう。
各パラメータの強化/弱体を設定します。継続ターン数を指定します。
前述の通り、特定のパラメータへの強化/弱体は、2段階あるため、2回まで重ね掛けが可能です。
強化の例として、「スピリットブレス」の使用効果を紹介します。
使用すると、即座にマップ画面に戻り、指定したコモンイベントが発動します。
設定の際には、範囲を「なし」にして、「対象者への効果」の使用効果で行ってください。
使用効果の 0003:その他>0001:特殊効果>0001:逃げる の効果について解説します。
アクターの場合、戦闘から離脱します(逃走可能なバトル時に、必ず離脱できる)
敵キャラの場合も、戦闘から離脱します。
また、アクター全員が逃げるが成功した場合は、以下のようになります。
武器、防具、アイテムには、これをスイッチアイテムとするかどうかの設定が可能です。
これをONにすると、後述するアウトラインエディタのスイッチラインで流れを確認が可能になります。
主にイベントに関わりの深い重要アイテムでの設定を想定しています。
オートガイドは、職業、武器、防具、スキル、敵キャラに設定項目があります。
詳細は後述しますが、戦闘のバランス調整を自動で行う際に効果を発揮します。